北海道DAY2016『マルシェプロジェクト』参加者の声(1)


2016年8月6日。東京・六本木で毎週開催されている「ヒルズマルシェ」にて、
北海道野菜の限定ブース“北海道マルシェ”が出展されました。

このブースを企画し、販売したのは“北海道に何か貢献したい”と考える総勢20名の東京在住道産子たち。
「農家の想いを伝え、本当の価値を感じてもらいながら北海道野菜を購入してもらいたい」という想いから、
6月には北海道の農家を訪ね、農作業のお手伝いをしながら生産者のこだわりを聞くフィールドワークを実施しました。
「どうしたら、これまでと違った形で情報を届けることができるのか?」
「農家のみなさんが最も伝えたいことはなんだろう?」
「価格設定はどうする?市場はどうなってる?」
「どう見せたら一番魅力的?どんな人に買ってもらいたい?」
など、東京に住んでいるからこそ考えられる・見えてくる視点で議論を重ね当日を迎えました。

緊張の当日・・・。たくさんのお客様にお越しいただき、野菜も加工品も売れて、大成功!
農家の方々からも「東京でこんなに売れると思わなかった」と驚きの声があがり、
メンバー自身も新しい経験と新しい自分を見出す、貴重な体験となりました。
今回は、そんなマルシェプロジェクトに参加した3名の方にお話しをお伺いしました!

片野 孝亮(こうすけ)さん
北海道釧路市出身。大学進学のために上京して早12年目。
普段は企業のシステムコンサルティングに従事。
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片野 文路(あやじ)さん
広島県出身。旦那さんの片野孝亮さんとともにご夫婦で参加。会社勤めのため農家の訪問等は初めて。
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本間 寛尚(ひろたか)さん
北海道札幌市出身。大学院まで北海道札幌市で暮らす。
上京して3年目。上京1年目から愛郷心が目覚める。現在は商社に勤めながら、インフラの事業投資等に従事。
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-みなさんがこのプロジェクトに関心を持ったきっかけを教えてください。

片野孝亮さん(以下「孝亮さん」):大学進学のタイミングで上京したのですが、当時は東京に対しての漠然とした憧れが強く、卒業後もずっと東京で働くということに全く疑問がありませんでした。一方で、父親の実家が酪農業を営んでいるので、「一次産業」や「地域の活性化」には関心があったんです。心のどこかで「地元に対して何か還元したい、何かしなければ」という漠然とした思いもずっと持っていたんですよね。東京に出てきたからこそ得たものを地元に生かしたい。そう考えて色々な人とつながりを探している時にこのプロジェクトを知り、生産から販売まで一貫して携われるところに魅力を感じて、参加を決めました。

片野文路さん(以下「文路さん」):私は、出身が広島ですし、正直にいうと北海道じゃなくてもよかったんです。東京に出てきて12年目、働き始めて7年目になりましたが、自分の行動範囲が固まってしまっているなぁと感じていて。今年の春から人とのつながりを広げたいなと思っていました。その時にこのプロジェクトを見つけて、価値観を広げるいい機会になるなと思い参加を決めました。あと、活動内容と期間に対してこの参加費はいいなと。いま振り返ってみても、短期間でたくさんのつながりや刺激を得られたと思います。私の日常ではできない経験ができるので、やっぱり安いと思いますよ。

本間さん:僕は北海道生まれで、大学院を卒業するまでの25年間、ずっと北海道でした。だから東京に出てきた時は、正直「もう北海道はいいかな。これからは東京と海外だ」って思っていたんです。でも上京後1年ぐらいで、やっぱりいつか北海道に帰りたいなと思いはじめました(笑)。「もし帰るんだったら、何をしようか」そんな話を友達とよくしていて、「北海道だったら農業だよね。それなら六次産業とかやってみたいよね」と冗談交じりで言っていたんです。その時にこのプロジェクトを見つけて。大学時代は農業とは無縁の生活で、農業の現場はみたことがないし、触れたこともない。この機会を逃したら今後中々農業と接点を持つことができないと直感で思ったんです。

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-孝亮さんは主にアスパラを生産する美唄市のうちやま農園に、文路さんと本間さんはトマトを生産する士別市のイナゾーファームにそれぞれ訪問しました。行ってみていかがでしたか?

孝亮さん:うちやま農園さんでは、農場主である内山さんたちとたくさんお話をして、価格決定の理由など普段聞けないようなことを聞けてとてもおもしろかったです。畑も広大で驚いたのですが「このぐらいの面積をやらないと安定した生産が出来ない」とおっしゃっていて、農業の大変さを実感しました。流通や小売りの都合により一般消費者の手元に届くまでに生じる鮮度低下、そしてそこで失われる本来の美味しさ。生産物を農協に集約することで価格が均一化されることのもどかしさ。これらは普段生活している中ではまず気付けないことだと思います。

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文路さん:私は初めて農家を訪問したので色々なことが印象的でした。特に記憶に残っているのは、おいしいトマトをつくるための、研究について話です。土に含まれる炭素がこうだからとか、土の上にシートを引くと日光の当たり方が強くなって光合成の動きが13%促進されるとか、理科の実験の話を聞いているようでした。農業ってもっと泥臭くやっているのかと思っていましたが、科学者の話を聞いているようで、印象に残っています。

本間さん:僕も「そもそも農家って何者?」という所からスタートしました。「しきたりや伝統があって新しいことに挑戦しにくいのかな」とか、「生産計画・販売計画ってどうなってるんだろう」と思っていましたが、お話を聞いてみてイメージが一変しました。文路さんのお話にもあった通り、とてもロジカルで戦略的。論文を読んだり、勉強したりしていて、経営者であり、研究者であり、生産者でもあるという本当にすごい人たちが農家をやっているんだということを感じた訪問になりました。

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-訪問した後に各チームでマルシェ本番に向けた議論を重ねて、当日に臨みましたよね。準備から当日の販売まで、おもしろかったことや苦労を教えてください。

孝亮さん:準備の段階で、「価格設定」にすごく時間を費やしたんです。でも、当日を迎えてみて思ったことは「大切なのは値段じゃない」ということ。六本木という富裕層が多い土地柄もあったと思いますが、良いと思ったものを迷わず買う人が多かった。だから、売るものに対してどう興味を持ってもらうか?ということが大切だと感じました。もしもう一度、やれるのであれば関心を持ってもらう方法について考え抜きたいですね。

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文路さん:生産者の顔や人柄、生産されるまでの丁寧なプロセスを、実際に拝見して知った後だから、「責任もって売りたい」という責任感が強くありました。農家さんの想いを知っているからこそ「売るモチベーション」はすごく高かったんです。でも実際に売っているときはやっぱり「おいしいかどうか」が一番重要で。おいしかったら、伝えたいことを伝える前に売れちゃいます。私たちが知ったことを伝えきれたかと言われたら、少し悔しいなぁとも思っています。でも、「おいしい」ということが一番大切で、それ以外は購入を後押しするものでしかない。「農家の想いを伝えたい」と意気込んでいたけれど、それがうまく伝わって購入してくれることもあれば、伝わる前に買ってくれることもある。それでも最終的には食べてくれて、おいしいと思ってもらえることが大事なことなんだと感じました。

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本間さん:僕は、お客さんの中に一人印象的な方がいて。販売していたトマトジュースに「こんなに飲みきれないからねぇ」とおっしゃったおばあちゃんがいらっしゃいました。その時ふと閃いて「カレーのペーストに使うといいいですよ」とお伝えしたんです。実は農家さんへのフィールワークで、昼食に出てきたのがこのトマトジュースを使ったカレーだったんです。「北海道で農家さんからご馳走になったのがとってもおいしくて…」とお話をしたら、「じゃあ、他のお店で野菜も買ってカレーにしようかな」とトマトジュースを購入されていきました。「売るためにどうしたらいいのか」ということを考え、そしてそれをリアルに実行できるのはこのプロジェクトならではのおもしろさですね。

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-3人ともそれぞれ貴重な経験をされたんですね。最後に今回のプロジェクトを通じて感じたことを教えてください。

孝亮さん:今回は半日しか農作業の時間が無かったので、今度は作付・収穫など色々なプロセスを体験してみたいと思っています。農業経営についてのお話ももっと聞いてみたいですし、週末を使ってできる「通い農家」みたいな形があったらいいなと思いました。今回訪問した農家さんの先進的な取り組みは他地域にとっても参考になると思いました。こうした事例がもっと広がっていけばいいですね。

文路さん:また訪問してみたいです。単純に、谷さんご夫婦に会いたい!目指すビジョンや現状の話、そして何に挑戦しているのか。そんなお話を聞きにまた伺ってみたいと思いますし、士別市はこれまで行ったことがありませんでしたが、少しでもお話をしたり一緒の時間を過ごした人たちがいる場所だと思うと、特別な場所になりますね。

本間さん:知り合いに農家もいないですし、数時間、農家を訪問しただけでは知ったとは言えないなと思っています。今回の訪問で、これは農業だけで終わる話はなくて、農業から地域や経済、研究という答えのない世界への挑戦につながっているんだということがわかりました。分野としても非常に興味がありますし、またぜひ参加したいなと感じています。

 

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-片野さん、文路さん、本間さん、ありがとうございました!

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